固定と移動

固定と移動も一つの陰陽とも考えられます。
陰陽はどちらが無くても存在することはできないのですが、この固定と移動も同じです。

てこの原理を思い浮かべて下さい。
なぜ重い石が1本の棒で簡単に持ち上がるのでしょうか?

それは支点という動かない部分、すなわちしっかりと固定される部分があればこそなのです。
支点が無い状態では、移動ばかりになってしまい重い石は持ち上がりません。

固定と移動がそろってはじめてスムーズに動くことができるのです。

これは身体に置き換えても同じことで、腕を大きく回すにも体がしっかりと固定されていなければ
安定せずに結局うまく回せません。

さて、肩が痛くて動かせない時などは、腕を動かそうと代償的に体をひねったり

歪めたりする動作となってはいないでしょうか? 

固定されるべきところはしっかり固定し、移動すべきところは可動範囲内で動かせる ・・・
これは陰陽の成立へとつながっていく事です。 

実際に身体の関節の動きを分析して、固定と移動を整えると動きが良くなる。

活法には、痛い部分はそこに居たいからこそ " 痛み " が出ていると考え
「 じゃあそこにもっとイタくなるようにしてしまえ 」 という調整で、痛みを消していく方法も
あります。 これは陰陽を逆転させるという発想とも言えますね。

また、固定をしっかりと作った状態で移動させると、中心が整うという調整法もあり
固定と移動の概念は、身体だけでなく気や精神に働きかけることもできます。

うつ病や自律神経失調症などは固定すべき状態。 つまり睡眠が良くとれていないことが
多くの原因となっている事があります。しかし、身体も心も安定していない状態では
「 寝なさい寝なさい 」 といくら言っても寝ることはできません。

そこで、一度寝た状態を疑似体験させてあげることが重要となってきます。
碓井流活法では、こういう場合に 「 超リラックス法 」 という技法を用います。



これはまず固定術(パス)を使って、身体の固定をしっかりとし、その後言葉がけによって
精神を誘導する方法で、これを行うことによって患者さんは寝ている感覚を思い出す体験や
寝られるのだという自信が得られ、心と身体の安定・安心を取り戻していきます。

操作の一つ一つ、言葉かけにも固定と移動の概念が含まれ、これらを使い分けていくことで
活法の施術は、大きな結果を得られるようになっていきます。