※ 当ブログに掲載されている内容は受講者のためのものですので、無断転載はご遠慮下さい。

肩(腕)が上がらないのは手

肩が痛い方は、よく肩もしくは " 腕が上がらない " と言われます。
水平90°の位置までいかないことも、しばしばみられますね。

碓井流活法には、このような症状を改善する様々な手法があります。
しかし、それらをうまく使えても施述後に

患者さんにも、自身で運動して貰うことも大切です。
そのほうが効果も長く持続します。

 

そこで重要なのが「 おみやげ 」です。 患者さんへの宿題ととらえてもいいかと思います。

この時、碓井流活法ではまず発想の転換をしてもらうことから始めます。
肩や腕が挙がらないのは何故でしょうか?

肩や腕が上がらないのは、手を挙げ様としていないからです

 

肩を挙げ様とする筋肉と手先を上に挙げ様とする筋肉は、異なっています。
日常生活では、肩や腕だけを挙げ様とする動作はほぼみられません。

そこで実際の方法は、患者さんに肩が上がる範囲で良いですから
壁に指先を付けてもらいます 」 

次に、指先で壁を登るように 上に挙げていってもらいましょう。
この時できるなら壁に近寄っていってもらい、できるだけ高く登ってもらって下さい。
限界まで上がったら、腕を挙げたまま一歩壁から離れてもらい深呼吸です。

再度、確認してもらうと肩が上がりやすくなっているはずです。

これが難しい方には、肩が上がる範囲でけっこうですから
指先を壁に付けたら、そこからしゃがんでもらう 動きをやってもらいます。

これらは始動支点の移動という考え方を用いた技法です。
このように手が上がりさえすれば、いがいと肩や腕も上がるようになります。

 

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肩と股関節 上下の関係

肩と股関節は左右が連動して動いていることを以前記載しました。→ 兄弟関節

今回は、両肩の動きと両股関節の動きが上下で連動 していることを述べていきたいと思います。

 

まず、立位で両肩(両腕)を外巻きに廻し、可動域を確認してください。
次に両股関節(両足)を内巻きにしてから、再び両肩を外巻きにしてみてください。
そうすると可動域が広がり動きやすくなっているはずです。

逆に両肩の内巻を良くしたいときには、股関節を外巻きにしてから行います。
このように両肩と両股関節を反対方向にねじると動きが良くなります。

 

また、動きが良くなったところで1回深呼吸をすれば、その状態が少し維持されます。
これは肩と股関節の上下の関係を利用した 「 始動支点の移動 」 を行ったことになります。

両肩もしくは両股関節の動きが悪い方がいたら、テストと称してぜひ試してみてください。


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兄弟関節

肩や股関節は左右が協調・連動して動いています。

碓井流活法では、これを 「 兄弟関節 」 ととらえています。
兄弟関節ですから、もしも片方が悪くなると反対側はその分負荷を受け
更に悪くなっていく悪循環を生みやすく、碓井流活法では、それを逆手にとって

良い方から調整することで悪かった方を良くするという方法を用いる事が多い。


臨床では痛めている部分を患者さんはいじられたくないものですよね。
痛めていない方をどのように動かすと楽になるのかを確認できれば調整できます。

肩なら腕全体を内巻きにねじる・外巻きにねじる動きです。
どちらかに捻じれば痛めている方が動きやすくなるはずです。
それを確認したら、良い方にねじりきって、さらに肩に影響が出るようにもうひと巻き!

同様に股関節なら内旋・外旋の動きとなります。
股関節の調整は片膝を痛めている方に、それ以上悪化させないようするのにも有効です。

この方法なら患者さんも怖がらずに受けてもらえると思いますので、試してみて下さい。


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筋肉のつかみ

筋肉をつかんで動かすだけでも動きが良くなる。 」 ごぞんじでしたか?
これは筋肉が動いた状態を先に作りだし、そこで動かすからです。

ただし、筋肉をつかむといっても力任せに握るのでは逆効果! 把握するには伸筋をうまく使って
つかみ、力こぶをつくるように盛り上げるのが重要です。

例として、二の腕の 「 上腕二頭筋の筋力テスト 」 を行ってみましょう。
術者・相手ともに力加減を覚えたら、二の腕に力こぶをつくるようにつかんで
5回くらい肘を曲げ伸ばしさせます。 再度筋力テストを行うと非常に力が入りやすくなります。

このようなつかみ方は、指圧などの技法にも 「 吸引圧法 」 として取り入られており
ふくらはぎのつかみに良く使われています。 これはふくらはぎに手のひら全体を押し付け
手のひらに吸いつけるようにつかんで少し上に引き上げる方法です。

この時も指先の力は使わないように行うのがポイントで、指先に力入れると手のひらの密着が
うすれて吸引力が出なくなるからです。

また、この手の使い方は患者さんに触れる時や身体を持つ時、指圧の手のかたちを保つのにも
共通しています。このように、手のひらにある小さな筋を意識して使うとやさしいタッチになり
密着して余分な力を使わなくなり、手を使う技術が一段レベルアップしていきますよ。


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肩が痛くて動かせない方に

肩の痛みが強いときには、当然動かしたくないですよね。
かといってずっと動かさないと、筋肉や関節が固まってさらに動かなくなってしまいます。

肩はもともと様々な方向に動かすことができ、それゆえに多くの筋がその運動に関わっています。ですから痛む原因も幅広くわかりずらいのですが、その原因となる筋肉が動かなくなると
他の良い筋肉まで動かせなくなってしまう悪循環におちいってしまいます。

では、何とか少しでも動かせることができれば ... 
肩が痛くて動かせない方には、以下の方法を試してみて下さい。
だんだん良くなっていくはずです。

 

あおむけで、肩だけを後ろに回す動きをしてもらいます。 まずは動きを覚えてもらうために
何回か繰り返してもらいましょう。ある程度できるようになったら、施術者はこの動きを
押さえるように逆方向に抵抗をかけ、それをがんばらせます。

ゆっくりと力を抜かせ深呼吸をさせます。 

立位や座位でやるなら、肩の一番外側の肩峰あたりをつかんで固定し、腕を軽く牽引したまま
いろんな方向に動かすのも良いと思います。

フリーの状態のままだと動かせない人も意外と、あおむけで背中が安定したり
肩が固定されると少し動かせるようになってくるものです。

また、痛みの反対側から指先を当て貫くように行う 「 透し 」 も良いかと思います。


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ギックリ腰の人を寝かせるには

ギックリ腰で座ったまま動けなくなった、または立ったまま動けなくなったという場合に
どう対処されていますか? 

施術をしようにも、ベッドや床に寝てもらうことすらできないと難しいですよね。

碓井流活法では、座ったまま行える腰痛パターンの導引術や、立ったままで固定と移動を応用した操法などを用います。今回は立ったまま動けなくなった場合の対処法を記載します。

 

① 受け手の後ろに立ち、後ろから手をまわしおへその下あたりのお肉をギュッとつかみます。
腰を密着させ固定したら、お腹をつかんだまま軽く5回位屈伸してもらいます。


② 壁に手をつかせ、腰の痛い所をおさえ固定します。そのまま軽く5回位屈伸してもらいます。

 

① または ② を行うと少し痛みが軽くなります。
また、痛い部位の反対側から指先を当て貫くように行う 「 透し 」 を使ったり
腰を手刀で前と後からはさんむように固定し軽く前屈・後屈させる「 痛みを切る 」 方法
というのもあるのですが、これらの方法で痛みが軽減し動けるようになったらゆっくりと
仰向けに寝てもらい、そこから本格的な腰痛パターンを行うのが碓井流活法のやり方です。


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相関関係 腰と上腕三頭筋

碓井流活法では 腰痛の原因のほとんどに「梨状筋」が関与する という考え方があり

それを解消していく方法が、碓井誠総導師が長年の臨床経験より編み出された組合せの妙
「 腰痛パターン 」です。 膝裏の硬縮取り、外腹斜筋の導引、梨状筋の導引の3手がメインと
なり、これらは 碓井流活法コース や 古式整体臨床レベル1 で、必ずお伝えしている内容です。

 

腰痛になる時は、重いものを持つ、身体をひねってものを移動する、急に後ろを振り向いた
靴下をはこうとした、朝顔を洗おうとした場合などがありますが

今回はそれとは別に、腰痛の原因が二の腕の裏側の「 上腕三頭筋 」にある場合を
述べていきたいと思います。 具体的には
洗濯物を物干しに干そうとした、高いものを取ろうとして手を伸ばしたなどでしょうか。どれも腰も動いていますが、腕も伸びていますね。

 

問診やカウンセリングでよく聴いて、腕を伸ばした格好から腰痛が起きている場合には
上腕三頭筋の影響を考えてみてください。触ってみると硬くなっていると思います。

碓井流活法では、腕をL字に曲げた状態で、空中に留めてもらい、下からこの三頭筋を叩く方法を用います。そうすると腰を触っていなくても不思議と腰が軽くなります。
このように、痛めている部位と一見関係の無いようなところに、原因が隠れていることも
経験的にあるので問診やカウンセリングは大切ですね


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相関関係 肩コリとお腹

なかなか原因がわかりずらい肩こり。原因のよくわからない腕のしびれ等にも

以外と関係あるのがお腹です。 女性に多いでしょうか...

ひどい肩コリや施術してもなかなかとれてこない肩こりには、お腹もみることをおススメします。

 

現代の仕事ではデスクワーク、特にパソコンを多く使っていますね。また、生活の中ではスマホ。どちらも少し前に傾いた格好で使用しています。
頭が少し下がり、背中も猫背のように丸まり、お腹のみぞおちのあたりをへこまして
います。そのような方は頸~肩にかけて常に引っ張られた状態にあり、なおかつ指先を使うため
肩に多くの負担がかかります。また、お腹も常に圧迫され血流が悪くなり
内臓の調子も悪くなっています。その事に気付いていなくても
だいたい お腹を触ると、冷たかったり硬かったり と異常がみられます。

 

そこで碓井流活法では、剣状突起の下からおへそまでの正中のライン上にこの反応がでる
と考えています。そこに 軽く触れ、ゆらしていると・・・少しずつゆるんでくる

また、お腹がグルグル動き出すかもしれません。しばらく反応を探ってはゆるめていくと
肩に触れていなくても不思議と楽になります。肩こりの方に、食欲がない・胃の辺りがつかえる
よく眠れないなどの随伴症状がみられたらぜひ試してみてください。


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パワーづけ

碓井流活法の導引術の特徴は

① 患者さんに動いてもらう

② 患者さんに力を入れてもらう

③ 患者さんに力を瞬間的に抜いてもらう

言葉で書くとなんだか患者さんにまかせっきりのように見えますね。
しかし、どのように動いて、どのくらいの力で、どのタイミングでなど
施術者の誘導が非常に重要となっています。 うまく行うコツは以前記述しました。

今回はその応用バージョンを記載したいと思います。

 

碓井流活法の導引術では、動きの良い方( 陰性方向 )と、動きの悪い方( 陽性方向 )にも
導引術を用います。 例えば動きの悪い方向の中で、さらに陰陽を分析してみると
悪い方へ動かした所から ~ 元の位置に戻す動きは楽 陰性方向 です。

この事を応用して導引術をかけると
最小の動作で導引術が行えますし、ある方法を行う事で
中心を整える事もできてしまいます。


また、動きが良くなったり、身体が安定しただけでは物足りない方には
さらに「 パワーづけ 」という技法があります。

 

例として、あおむけで膝を立てた状態で、左右の腰の回旋の動きを観ます。
まず、左右の動きの差を取るように調整しましょう。 その後、はじめの検査で動きの悪かった側に膝を倒してもらいます。この時、施術者は抵抗を加えつつも、あえて力を逃がすように
負けながらの抵抗を入れていきます。

そしてだんだんと膝が倒れていくにつれ、手で支えていたものを指先に変え
身体は抵抗となっている指先から背けるようにしていきます。
相手の膝が床につく手前では指先だけ引っかかり、肘は伸びて顔は反対を向いていると思います。

そこで少し踏ん張ったら指先をはずします。そうすると患者さんの膝は力を入れているので
床に向かうはず。 膝を中心に戻して再度検査すると力強くなっていると思います。

痛みの強い患者さんには用いませんが、ある程度良くなってきた方やスポーツ選手などには
喜ばれる 「 導引術の応用テクニック 」 となります。


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関節の痛みの観かた

碓井流活法での関節の痛みの観かたとして、どこが原因になっているのかを確認していきます。

 その方法は・・・

 ① 関節をしまる方に動かして痛い場合・・・骨・関節の問題 ととらえます。

 ② 関節がひらく方に動かして痛い場合・・・筋肉の問題 ととらえます。

 

関節がしまると骨がぶつかり、動きのジャマとなったり関節の間に存在する組織が挟まって
しまうのでしょう。この場合は骨格調整を行います。
また、関節がひらくと、その周囲に存在する筋肉がちぢんで血管や神経を挟んでしまったり
痛いときは筋肉が自然と縮もうとしてしまうので、そこをムリに引き伸ばそうとするために
痛みが起こるのだと思います。この場合は筋肉を動かす方法をとります。

肩関節の動きを例にとると、二の腕を内側に巻くと関節は閉まり、外側に巻くと関節は開きます。

これらが関節の痛みの原因のすべてな訳ではありませんが、施術のヒントになるかと思います。
関節を動かす時に注意してみてください。


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相関関係 仙骨と開口力

ヒトの身体にある骨の中で、唯一「人」の字(にんべん)が入っているのが仙骨です。

お葬式でお骨になった時も、だいだい仙骨はそのまま残っています。
それを見て仙骨には何かあるのではと思ったのでしょうか。

療術の世界でも、仙骨はヒトの中心にあり 波動を出している と考えられてきました。

実際に波動調整を行うと良くなりますし、仙骨は ヒトの中心、丹田の後ろ側に位置する のは
間違いありません。碓井流活法では、仙骨は様々な部位との相関関係にあると考えています。

今回は、仙骨と顎関節、すなわち開口力との相関関係 について記載します。

 

以前、仙骨は後頭骨とも相関にあることは記載しましたが、側頭骨とも相関にあります。

骨盤の捻転を観て、前転している側の側頭骨は閉じ、後転している側の側頭骨は開きます

側頭骨は下顎骨と関節し、顎関節を形成していますので顎関節の土台となる側頭骨が歪むと
関節に狂いが生じやすく、開口力がなくなってしまうのです。

この相関関係を活用し、骨盤や仙骨を調整すると開口力がでてきます。

 

プロのスポーツ選手は力を入れる際に、顎をグッとかみしめるため引退する時には奥歯が
ボロボロになっているという話を聞いたことがありませんか?

ヒトは力を入れる時に自然と顎や仙骨・骨盤を支えにしています。

同じように力を入れるときの支えとして、第1頸椎と身体の前屈力も相関関係にあります。
寝た状態から起き上がるのがツラいとき、この第1頸椎を調整すると起き上がりが楽になります。


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相関関係 脊柱

碓井流活法では、脊柱は「 コの字 」の相関関係 にあるといわれています。
一番上の第1頸椎は一番下の第5腰椎と、次いで第2頸椎と第4腰椎、第3頸椎と第3腰椎といった
ぐあいにです。 この理論はカイロプラクティックなどでも用いられています。

ですから、調整しにくい上部頸椎は、下部の腰椎を調整することで良くすることも可能で
これは、頸椎症や腰椎すべり症など、その部位を触ってほしくないという患者さんにも使える
と思います。

 

また、第1頸椎は股関節とも相関関係 にあるといわれています。仰向けで膝を胸に近づけるようにしてもらうテストを行い動きを確認します。

そこで第1頸椎を調整すると股関節の動きが良くなります。

同じように仰向けで顔を左右に向けてもらうテストを行い動きを確認し、股関節を調整しても
頸の回旋は良く
なります。

 

また、脊柱より上の 頭蓋骨( 後頭骨 )と仙骨も相関関係 にあります。
これは頭蓋仙骨療法、オステオパシーの理論にもなっています。碓井流活法では「 波動調整 」
と言いますが、強い刺激を嫌がる患者さんに用いることがあります。

波動とは、水の上に水滴が落ちるときの波紋が広がるようなイメージを持って、リズムよく軽く
叩く・揺らすことで振動を起こしていきます。心地よい振動は、ものを中心に集めたり、脳脊髄液の循環を促す作用があると考えています。

原因がよくわからない患者さんに用いると、不思議と症状がとれることがあります。


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相関関係 膝( 膝の変形 )

身体の中で良く動かす部分ほど治っていきにくい

施術者側としてはできれば安静にしていてほしいのですが・・・
患者さんとしては仕事や生活の中で使わざるをえない。 よくある話ですよね! 

今回はその中でも膝をテーマにしていきたいと思います。

 

膝は下半身のボディバランスのほぼ中央に位置し、特に大きく動く部分です。


膝はその曲げ伸ばしの動きの中で、膝以外の部分も大きく関わって動いています
膝より上の股関節・仙腸関節・腰椎など、膝から下の下腿の骨・アキレス腱・足元などです。

簡単に言えば、膝を中心にその上下ですね! 膝を調整していくには、意外と見落としがちな
これらの上下の部分も観ていく必要があります。

 

膝は関節の構造上 「 足部からの運動連鎖 」の影響を受けているといわれています。
膝が悪くなると、膝が内側か外側によります。 X脚やO脚といえばわかりやすいでしょうか。

膝が内側によった X脚では股関節は内旋し、それに合わせて下腿の脛骨は外旋 します。
さらに足はつま先が外を向き、土踏まず側で踏ん張るように接地します。

逆に、膝が外側によった O脚では股関節は外旋し、それに合わせて下腿の脛骨は内旋し
足はつま先が内を向き、小指側で踏ん張るように接地します。

これらに加え、足部のアーチがくずれ ることも示されています。

この理論は、膝のリハビリや足底板の作製などにも用いられていますが、碓井流活法の膝の調整
でも、まずこれらを調整した後に膝自体に対する施術に入っていきます。

そうしていくと、なかなか取れにくい 膝の動きや痛みなどの不調が取れやすく なります。


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相関関係 肩(肩こり)

上半身や腕のボディバランスの一角となる肩。
肩こりといっても様々なケースがあり、これといった原因がなかなかみつかりません
それは肩から手先にかけて、広く細かく動かせるためです。
その中で、どうして肩こりになったのか思い当たることがあれば一つのヒントになります。

仕事や普段の生活でどんな格好としていることが多いのか?
まず、それをカウンセリングで聞くことが重要。

今回は、肩こりと坐骨・アキレス腱との相関関係を説明したいと思います。

 

座り仕事が多いことが分かれば、坐骨からの影響が考えられます。
座った状態で最も負荷がかかる部分が坐骨結節です。
ここにかかる上体の負荷に耐えられなくなると、その側の骨盤が下がります。
それに対して身体をまっすぐに保とうと背中の筋肉が緊張します。
そうすると肩は常に下に引っ張られ、それに耐えようと力を入れ続けます。また
逆に坐骨の下、地面・床からの突き上げの影響も考えられます。
こちらは常に下から肩が突き上げられるのに対し、肩を下げようと身体を押さえ込む力が
入り続けます。このような状態が長引くと・・・肩こりになります。

この場合は坐骨を緩めます。

 

立ち仕事が多いことが分かれば、アキレス腱の影響が考えられます。
立った状態で最も負荷のかかる部分が足元につながるアキレス腱です。
上体・骨盤・下肢と全身の体重・負荷を支えるため非常に強力ですが、弱ってしまうと・・・
その側に身体を常に下に引っ張ったり、または下から突き上げられ、それに耐えるため
肩に力が入り続け、肩こりになってしまうのです。

この場合はアキレス腱を突き上げたり、伸ばしたりします。

肩こりの患者さんで、肩周りを施術してもあまり効かない時は、身体の違う部分も
観る必要があります


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相関関係 骨盤と肩甲骨

骨盤の高低差と相関関係にあるのは股関節と前述しました。
これはどちらかというと下半身にかかわりが深いものです。 
今回は骨盤と上半身に関係が深いものを記載していきたいと思います。

 

骨盤の高低差以外に観ていくのが 骨盤の捻転 です。 これもやはり立位で観ていきますが
上前腸骨棘という骨盤の前方に出っ張った部分を調べていきます。 ちょうどズボンのポケットの
入り口当たりにあります。これを左右比べてみると、普通の人でも多少は高さが違うはずです。

上前腸骨棘が高い側が骨盤が後ろに傾いた後転で、低い側が前に傾いた前転です。

 

次に左右の肩の高さをみます。
通常は 骨盤の後転している側の肩が低く、前転側が高くなっているはずです。

これは骨盤が傾いた分を上半身で補正し、水平に近づけようと上半身を傾けた結果!
当然この時、肩に合わせて肩甲骨の位置にも高低差が出ています。


この状態で痛みや不調がでていなければ問題ありませんが、もし肩凝り等の症状が出ていたら
骨盤の捻転を調整し、肩甲骨の高さを調整すると症状が緩和していきます。

以外と肩コリの原因は、肩以外にあるかもしれません。

また、肩甲骨の高低差は側頭骨の捻転、さらに眼の周りにある外眼筋とも相関関係にあります。


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相関関係 骨盤と股関節

身体の中にある様々な相関関係。 これを知ることで施術のポイントを得ることができます。
今回は 骨盤(腸骨稜)の左右高低差と股関節の内旋・外旋の相関関係 を説明します。

 

碓井流活法での身体の観方は、基本 立位でみることが多く 
それは立って動いている状態を確認することが重要と考えているからです。

立位は自分の体重に加え、重力の影響も受けて 常に負荷がかかっている状態 です。

支えているのは、まず脊骨の一番下の第5腰椎です。 
第5腰椎も、仙骨と骨盤に支えられています。

その 骨盤の土台となるのは股関節 です。

 

骨盤や土台の股関節は 正常な方でも少なからず左右差 みられるもので
通常は体重を支える足側( 軸足 )、多くは左側に負荷がかかることにより骨盤が低くなって
います。 そして、
骨盤(腸骨稜)の高さが低い側の股関節は内旋 している事が多い。

その場合、逆の右側の 
骨盤が高く、股関節は外旋 している事が多いと思います。

痛みもなく自由自在に動けるのであれば、左右の差があり多少ゆがんでいても正常と捉えますし
筋肉が柔軟できちんと働いていれば、アンバランスであっても問題はありません。

 

しかし、痛みや不調がある場合にはこれを調整 しなければなりません。
腰痛・膝痛をはじめとする下半身の症状のみならず、肩こり・頸痛など上半身の症状にまで
関わってくるからです。

痛みや不調と感じている発現点を調整した後、股関節の内・外旋を逆転 させておくと
骨盤にかかる負荷を減らし たり、身体のバランスが調整され、症状の予防 にもなります。

これを行わないと、せっかく調整したものが再び現れやすくなるので
施術の際には見落とさないように気を付けてみて下さい。


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相関関係 頸(ムチウチ)

頸から上の三角形は 「 第7頸椎 」 を土台としています。


頸の動きは前屈・後屈・側屈とありますが、特に回旋という動きが特徴的ですね。
顔や頭を左右に向ける動きの事です。 頸の動きが悪くなる原因は様々ありますが
今回は事故などの衝撃による 「 ムチウチ 」 を例に挙げたいと思います。

 

ムチウチの調整は・・・当然、この頸の土台を調整するように行います。
第7頸椎に向かって行う 「 肘打ち 」 という技法があるのですが、それ以外にも
頸の回旋をテーマに調整を行います。

衝撃を受けた時に、力いっぱい握ってしまった手先の緊張を抜く「 扇の調整 」 
衝撃に備える為に足を踏ん張る事によって開いてしまった、膝関節を調整する 「 膝関節締め 」です。これらを行うと頸に触れていないのに不思議と、頸の回旋の動きが良くなります。

 

碓井流活法の調整では、まずボディバランスの中に当てはまるものを確認していきます。
しかし、中にはそれだけに当てはまらないこともあり、今回の例のように
離れた部位も観ていく必要があります。 

これは「 相関関係 」といって この部位にはここが関係がある という
先人達の経験の集積から見出されてきたポイントです。 今回ご紹介したムチウチのポイントは様々な療法の中でも聞いたことがなく、碓井流活法ならではの発想から生まれたものと 
思われます。 今後、このような部位ごとの相関関係も記事にしていきたいと思います。


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矯正と調整の違い

碓井流活法では、骨格は矯正ではなく調整する といいます。
これにはまず、骨格のゆがみはどこから来ているのかが重要になります。

碓井流活法では、骨格のゆがみは筋肉の影響からという「 張力説 」で考えています。

事故などでよほどの衝撃・外力を受けない限り、ほとんどの場合は筋肉を調整すると
骨格は良い状態に戻ると思います。

 

そこで、骨格が良い状態とは何か? とまた疑問がでてきました。
まっすぐになる・左右均衡がとれているなど ... 様々な考え方があるかもしれませんね!

碓井流活法では まっすぐではなく、痛みがなく自由自在に動けることが重要 と考えます。

歪みが残っていてもそれで良いのです。 例えば、農家のお年寄りの中には腰が曲がって
いる方もいますよね。 でもそれは農作業に合わせて身体が変化しただけで、どこかが
痛くない人も大勢います。

 

では、骨格を 「 調整 」 するとは?

矯正 」 は、この位置に留めようと骨を押したり引いたりと力をかけることです。
これは一時的に骨が良い位置に戻ったとしても、筋肉は調整していないため
再び筋肉に引っ張られて元の位置に戻されてしまいます。 

これに対し調整は、導引などで筋肉の調整をおこなった後、空気を抜くように
無理な力はかけず 関節可動域の限界を見切ってから瞬間的にもう一押ししてあげます。

すると、その反動から戻ろうとするときに骨が良い位置におさまります。
碓井流活法の骨格調整では、一切反発がでないように行う ことがポイントとなっています。

これを 空気を抜くように 表現するのですが、そうすると自然に骨が良い位置に留まり
その結果として、動きや可動域もよくなります。


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サポート系

以外に効果絶大な、碓井流活法の 「 サポート系 」 と呼ばれる技術。

これは、皮膚接触とエネルギーの方向付け、押し引きなどを組み合わせたもので
外から見ると簡単にみえます。

しかし、これが身体の動きを大きく変えるのに効果的で
特に動かない、動かすことが難しい人に大変有効な技術となります。

 

例えば、四十肩・五十肩で腕が上がらない人に、あおむけで腕の上下で軽く押しひきを作ります。そのまま腕を上げていってもらうと・・・上がらなかった腕が軽くあがるようになります。
最後に上がる方向に向かってエネルギーの方向付けを加えます。
また、腰や膝が痛くて足を上げづらい人には、膝の上下を軽く皮膚接触し、上に軽くエネルギーの方向付けを加えて足を上げてもらうと・・・上げづらかった足が軽くあがるようになります。

 

どちらも、相手の動きをいっさいジャマしないことがポイントで、施術を受けている方に
自分で動かしているのか、相手に動かされているのかわからないようにする事です。

また、手や身体に力が入ったり、逆にゆるんでしまうのも厳禁です。

相手の動きについていくようで誘導している。これだけのことですが簡単そうに見えてやってみるとなかなかうまくいきません。 うまくこなせるようになれば、導引の誘導や操法、骨格調整など
他の技術もうまくできるようになります。


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筋の連動

筋の連動は、碓井流活法で多用する 「 導引術 」 の原理と深い関わりがあります。

筋肉は解剖学的には一つの筋ごとに動きが定められていますが、実際は一つだけの筋肉が
動く事はありえません。 必ずいくつかの筋肉が同時に動いているものです。

広い視野でみれば、足先から手先、頭の先まで動かないところはないといっても良いでしょう。

 

調子の良くない患者さんでは、この連動がより小さくなるかうまく連動していません。
だから動きが悪くなるのです。

 

では、筋の連動がうまくいくとどうなるか・・・ 当然 ' ちから ' が出るようになります。 
筋の連動を起こすには、大きくするにはどうすれば良いか・・・?

 

二人で向かい合い実験してみましょう。 立位で腕相撲をしてみてください。

どちらか弱い方を確認します。次に第三者が弱い方の手を受け止めるように壁を作って下さい。
その壁を思いっきり押してくるように指示し、負けないように抵抗します。

さらにがんばって押させるようにすると・・・腕だけで押していたものが、自然と身体全体で
押そうとしてくるはずです。 その事を確認したらゆっくり力を抜かせましょう。

再度、腕相撲をやってもらえば、弱かった方が勝てないまでも負けないように力が入るように
なっているはずです。 これは導引術の原理で、ある一点に力を集中させると
そこから全身の動きに変わり、「 筋の連動 」 が引き出されてきます。

どこまで波及させられるかは技の精度という事になりますね!


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残気

碓井流活法を学んでいくと、自己修練法のひとつとして 「 呼吸法 」 を学びます。

これは気の項で述べた、電気から霊気へと高める方法です。 同化法でも述べましたが
施術者は常に高いエネルギー持つ必要があります。 呼吸法のやり方はこちら →「 陰息陽息呼吸 」

 

そこで出てくるのが 「 残気 」 の問題です。
残気とは、めいっぱい息を吐ききっても肺の中に残る空気のことで、生理学では残気量と
説明されています。肺という風船は完全に萎むと、もう一度膨らむことができないため
常に空気が残った状態になっています。
また、これは空気を楽に吸い込むために必要なものでもあります。

残気は、お母さんのお腹の中にいる時から、少しずつ赤ちゃんの肺に貯まるといわれています。
そのため、残気の中に含まれる成分によって引き起こされる病気もあると考えられています。

碓井流活法では、遺伝性・先天性の病気の原因になるととらえています。

 

その残気を出す 「 残気出し 」 といった技法があります。
肺の中に貯まってしまった、身体にとって良くないものを体外に出すことができます。

息を大きく吐かせたところから、さらに胸に圧迫をかけて 「 フッ、フッ 」 と残気を排出させる
ことができます。残気出しは呼吸がしにくいといった症状にも効果的です。

自分で残気を出すには、息を大きく吸い込んだらそこでがんばって息を止めます。
そうすると肺の中で吸った空気と混ざり、そこから少しずつ息を吐いていくと
わずかですが残気が出ていきますよ。


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同化法

同調と同化の項 で述べた、あいてを同化させる方法 ...
これは、患者さんの身体の動きを簡単に変えたい時にも使えます。

例えば、立位で腕を前から上げてもらい左右の腕の重さを確認してもらいます。
次に患者さんと施術者は横に立って並び、お互いの近い側の足の外側どうしをくっつけます。

重い方の腕の肘を伸ばして、施術者の腕の上に重ねてもらいます。
これで同調させることができました。

ここから施術者は大きく後ろ廻しで腕を一回転させ、あいてに一緒の動きを与えます。
戻ったら深呼吸。 これで同化させることができました。



再度、腕の上げを確認してもらうと軽くなっていますね!

この方法は、正座するのがキツイ方やふくらはぎのハリにも有効です。
その場合、うつ伏せで膝を曲げさせながら施術者の手のひらに向かってふくらはぎを
くっつけさせるように動かしてきて貰います。くっついたら膝を伸ばさせ
床につけたら軽く固定します。 そうすると、正座が楽になりふくらはぎが緩みます。

 

このように、ちょっとした手順を正確に行えば 「 同化法 」 を使うことができます。

この方法には、皮膚接触やエネルギーの方向付け、固定と移動などの他の要素も含まれていて
また、同化法が 「 導引術や操法、牽引術 」 などの技術の中にも含まれているため

施術者は同化させる意識をもって行うことが重要となります。

特に患者さんの背後から行う調整については、「 完全同調系 」 といって、患者さんと同じ
姿勢・同じ動きをするところから始めるパターンもあり、碓井流活法の理を知る・知らないのでは当然効果も変わってくるものです。


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透し

腰痛や肩こりなどの施術が終わったあと、患者さんに 「 ちょっとここが・・・」
「 まだ気になる 」 ... などと言われたことはありませんか?

その時、何とか解消しようと頑張ってしまっていませんか?

実はこれ、ずっと症状を追いかけても良くなりません。
再び施術前の痛みや不調が出てきてしまう事の方が多いかもしれません。

これは、せっかく調整した状態となったものを余計な刺激を与え、崩してしまった事により
起こってきます。 また、患者さんの意識もこれまで痛い部分に向いていたのが薄れ
他の部分が気になるようになっただけとも考えられます。

一度、身体を良い状態に整えたなら、それ以上は余計な刺激を与えない方が良いのです。

 

そこで、大きな影響を与えずにちょっとした残りを解消するのに 「 透し 」 を用います。
気の項で述べたとおり、ヒトの身体は原子の集合体でできています。その隙間を透すことで
正常化されるという手法です。

例えば、腰骨の上辺りをおさえて気にしていたら、その裏側つまりお腹側に手刀の指先を当て
腰側に手の平でお椀をつくります。そこに向かって貫くようにお腹側がら押し込んでいきます。

反発がでるようになったら一定圧にして少し待ちます。そこで深呼吸してもらうと違和感が抜けてきます。術者が透しているというイメージを持って行うとより効果的です。


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宇宙のエネルギーとの調和

「 宇宙のエネルギー 」 とは? みなさんごぞんじでしょうか。


碓井流活法には答えがあります。 答えは 「 右回り・左回り 」つまり回転運動を指します。

例えば太陽と地球、太陽の周りを地球が回っています。また、地球自体も自転で回っています。
宇宙に存在するものはこの回転運動の中にあるといえます。 実生活の中では、洗面所で水を使ったときやトイレで水を流すとき、渦を巻いて流れていきますよね。
これが自然の流れにそった運動なのです。

人の身体を当てはまると 「 中心を整える 」 ことができます。

 

立位で前後左右から押し、バランスをチェックしてみてください。
あまり動かない方向とグラグラする方向があるはずです。
そこで右に360°ターン、正面で一端停止の後、左に360°ターンしてもらいます。

深呼吸をしたら、再度バランスをチェックすると・・・安定していると思います。
宇宙のエネルギーと調和した結果、このような中心が整った状態になるのです。


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導引術 その2

はたから見て、見えない・気づかないところに、技術のポイントが隠れていることがあります。

碓井流活法で多用する 「 導引術 」 はその最たるものともいえます。

テストの重要性、患者さんへの言葉がけ・動きの誘導、抵抗の方向性・力加減など・・・
細かい点を言い始めたらきりがありませんが、今回は力のかけ方について述べていきます。

 

筋肉を対象とした導引術は、患者さんの関節可動域の無理のない且つ
めいっぱいの所に止まってもらう事からはじめます。
抵抗の方向はすべて元に戻す方向というのが鉄則ですが、これがやっているつもりで難しい...

その上、患者さんが堪えられる 「 程度の力加減 」 に合わせようとすると更に難しくなります。
しかし、施術者の位置・ポジションを工夫するとうまくこなせるようになってくる。

 

それには、患者さんの止まった状態の形をよく確認してください。どの方向に向いているか?

関節がどのくらい曲がっているか等です。その方向に向かい合うように位置し自分の関節を
相手と同じくらい曲げた状態にするとスムーズです。

そこから手先や腕の力ではなく、肩や背中など身体を使った動きで力をかけれるようになると
とてもうまく導引ができるようになります。

 


碓井総導師は無意識でこれらをやられていますが、真似をしてもなかなか同じような
結果はでないかもしれません。

何回も繰り返しこなすことで、自然に身に付けるていくかもしれませんが、このヒントで
一歩近づくことができると思います。

「 形は技やけど、技は形じゃない 」

これは遊知やよみ先生著作の福屋堂本舗(集英社)の中に出てくるセリフですが
始めて読んだときドキッとさせられました。

職人さんの秘伝の口授というものでしたが、僕らのような技術を使う者すべてに当てはまる
とても重要な言葉だと思っています。


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微振動

「 微振動 」 は、碓井流活法で腹部の調整によく用いられる技術です。

あん摩マッサージ指圧を習った方なら、よくご存じの振動を与える方法です。
ただ、この振動をできるだけ小さくしたものを用いるのが微振動です。

微振動には、ものを中心に寄せるという作用があります。
そこに悪いものを集め、中心とすることで陰陽が成立した状態となり、硬さや痛み・違和感など
をなくしていきます。

 

振動は、前腕や肘のあたりに力をこめれば、誰でも与えることができます。
しかし、そのままでは道路工事のよう。それを、肩から背中へとだんだんに意識を移していくと
振動が細かくなっていきます。
活法では振動が細かいほど、より深部にまで影響が与えられると考えていて、そこに 「 透し 」 のイメージを加えて行うと、さらに効果的になります。

腹部を軽く触診して、硬さや痛み・違和感のある場所にぜひ試してみてください。


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深呼吸

息を大きく吸ってゆっくり吐く、碓井流活法の技術を施した後に必ず行っている深呼吸ですが
これもただやっているだけではありません。深呼吸にも意味があるのです。
それは、呼吸自体が陰陽の成立になっているからです。吸う・吐くの両方を自然と行うことで
陰陽のバランスが整い、中心ができあがります。

 

例えば立位でバランスの確認を行います。胸骨の前、その後ろの胸椎上部、肩の左右の4方向から軽く同じ力で押して、ぐらつく方向をみつけます。そのままゆっくりと深呼吸をしてもらいます。再度バランスを確認すると、さきほどより安定していると思います。
このように深呼吸は、身体の中心をつくる作用があるのです。

 

また、深呼吸には身体の状態をリセットし、脳の認識を変える作用もあります。
生理学や脳科学では、深呼吸を行うと気分が落ち着き、交感神経・副交感神経といった自律神経の働きも調整されることが説明されています。
一つの技術を施した後に必ず深呼吸を行うのは、このような作用に加え、身体に良い影響を与え
その状態を定着させるねらいがあるのです。


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反射・スパーク

碓井流活法の技術のなかで使われる 「 反射 」。

これは、身体のある部分を叩く床に打ち付けるなどして衝撃を与えることで
身体を良くする方法です。 ただ叩けばよいというわけではなく、透す・打ち抜くという意識を
もって打つこと。それにより、痛みが解消されたり、筋肉の緊張がゆるんできます。

また、「 スパーク 」 も同様に打つ刺激を使いますが、これには中心を整えたり、打たれた後に
戻ろうとする反動を利用して身体を調整するといった意味もあります。

 

例えば、立位で腕を上に挙げるテストをします。 この腕の上げづさらには、アキレス腱からの
連動が関与している場合があります。 そこで、アキレス腱を上に押し上げるエネルギーの方向付けを施します。
アキレス腱が関与していれば、再度腕を上げてもらうと挙がりやすくなります。
そうなったら、腕を上げたままで仙骨にパンっとスパークを入れます。
このスパークが入ると、良い状態を身体に覚えこませることができます。

 

また、腕を横に挙げてもらうテストをします。腕の上がりやすさ・重さを感じてもらったら
90°くらいの位置に止まってもらいます。そこで前腕辺りに上からスパークを入れます。
はねるようにパンっと叩くと、一瞬下へ沈んだ腕が反動で上へあがるはずです。
そこで、再度腕を横に挙げてもらうと腕が上がりやすく・軽くなります。

このように、意識にのぼらない身体の動きは、生理学では伸張反射と説明されています。
反射やスパークはそれをいかに引き出すかがカギになります。


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エネルギーの方向付け

「 エネルギーの方向付け 」 は、皮膚接触 と組み合わせて使うことの多い技法です。

皮膚接触は一定の圧で触れることが重要でしたが、エネルギーの方向付けはある一定方向に
皮膚をずらす程度の力で行います。 そうすると動かしたい方向への動きが改善されます。

施術の始めに変化を感じさせたい時、また施術の仕上げに使うのもいいかと思います。 

例として、前項で述べた皮膚接触による前屈の改善にエネルギーの方向付けを加えてみましょう。

大腿の外側に触れたら、皮膚がずれる程度の力で上に寄せます。
そこで固定したまま、前屈してもらうとさらに前屈しやすくなるはずです。
このように皮膚接触と組み合わせると身体の動きを大きく変えることができます。

 


しかし、これだけで施術が終わるわけではありません。
確かに動きは変化するものの、これで施術を終えてしまうと元の状態に戻りやすいと
碓井総導師はおっしゃています。もちろん、皮膚接触やエネルギーの方向付けも使いますが

碓井流活法では 「 導引術 」 で筋肉をしっかり動かさせることによって、身体が正常化
していくと考えています。これは 「 身体にあらわれる様々な不調はどこが原因で起こるのか? 」筋肉によるものが多いと考えているからです。
骨格のくるいや神経の働き、血液の循環などが悪くなるのは、筋肉が緊張し引っ張ったり
はさんだりするのが原因ととらえています。

その筋肉を正常化するには、じかに動かすことが重要と考えているのです。


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皮膚接触

ヒトの身体を観ていくとき、外からながめていくのが視診。
しかし、この視診でわかる範囲は限られています。

また、観ようとしても知識や経験がないと、どこをみれば良いのか分からない
という方も多いと思いのではないでしょうか。

そこで誰でもできるのが、触って比べる触診です。
この触診も、ただ触れば良いというわけではありません。

ヒトの身体を触り慣れている方でも、どこをどう触るとどう変化するのか?
考えて触っている人は少ないと思います。

まあ、そこまでいちいち考えていたらやってられないという方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、もしうまく触ることができ、それだけで身体が良くなるとすればどうでしょう。

ただ触るだけで身体をよくできてしまう事もあります。

 

それには、まず手の力を抜くことが必要です。 言葉にすると簡単ですが
これがやってみるとなかなか難しい。 どうしても無意識に力が入ってしまうのです。

はじめはこれを意識して抜くようにつとめていくのが大事で、意識することを続けていくと
そのうち自然に力が抜けるようになります。そうなるまであきらめずに続けて下さい。
 

そして 「 皮膚接触 」 を意識して使えるようになると・・・

皮膚接触には固定の意味も含まれていますが、皮膚の形が変わらない程度の力で皮膚に触れます。そのまま一定圧を保つのが皮膚接触です。

例えば、立位での前屈をテストしてみてください。どこまで指先が届くかを確認したら
大腿の外側に皮膚接触を行います。そのまま、再度前屈してもらうと・・・
指先がさらに床に近づくはずです。

このように筋肉の動きが変わる反応を、生理学では 「 皮膚反射 」 と説明しています。
触った皮膚の下にある筋肉の動きが良くなるのです。
これを応用し、どこかに触れたまま運動してもらうと、どんどん動きが良くなりますよ。


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固定術・押し引き

碓井流活法の技の中に多く含まれる固定術。
以前、活法理論の 「 固定と移動 」 の項で、固定と移動がそろってはじめてスムーズに
動くことができる。 陰陽の成立につながることを記載しました。

ここでは、固定を上手に使って身体部分を軽くさせる方法を述べていきたいと思います。

 

例として、腕を対象に考えていきましょう。
腕は普段から、腕自体の重さと重力によって下に引き下げられています。
それを支えているのは、肩すなわち鎖骨・肩甲骨と、その周囲に付く筋肉や靭帯などです。

肩周りの筋肉はその重さやストレスを常に受けているわけです。
もし、その筋肉が弱ってしまったら … 肩周りはもちろんのこと、さらに遠い部分にも負担が
かかってきます。 これが肩こりや頸こり、背中の痛みとしての表れでしょう。

 

では、その腕を軽くすることができればどうでしょう?
やり方は 「 押し引き 」 をつくることなんですが・・・

押し引きとは、肩口と手首をそれぞれ持ち同じ力加減で引っ張ること。
両方向に引っ張り、ピーンと張った状態ができると腕の重さは感じなくなるはずです。

やってみるとわかります。

そこから、身体を動かしていく活法の操法やエネルギーの方向付けなどの技術を加えていくと
腕がとても軽い状態となり、楽に動かせるので肩の可動域も広がります。
結果として、肩こりや頸こり、背中の痛みが解消されていきます。

押し引きは固定術の一つ ですが、「 固定 」 といってもがっちりまるっきり動かないように
固定するのではありません。 一定の圧で固定し続けることが重要となります。


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牽引術

碓井流活法の施術で使われる牽引。
導引ができない人や施術の仕上げに使います。しかし、はたから見るとただ引っ張っているように見える中にも、実は牽引のコツが含まれています。

これが分かっていないと、ただ引いただけで大きな効果は出ません。

 

まずは、受ける側と引く側が 「 お互いに引かれた状態 」 をつくる必要があります。
例えば、足を使って腰部・腹部・股関節などを牽引する場合を考えてみましょう。

対象とする足を持ち、引っ張ります。その状態で、施術者も手を伸ばし少し後ろに倒れるように
します。そうすると、ちょうど持っている足の位置を中心に、お互いに引かれた状態になっているはずです。お互い引かれたら、そこから牽引のスタートです。

 

次に牽引ですが、単に、力いっぱい目いっぱい引いてはいけません。
7割の力で引いて一瞬止まったら、残りの3割の力でさらに一引きです。
難しければ7割の力でスーッと引いたらそのまま残りの3割の力でさらに一引きでもかまいません。

また力加減は、受け手の身体が動かない程度で、目的の部分だけがピョンと跳ねるように引ける
程度の力です。そうすると、対象が筋肉でも関節でも牽引ができ、その効果がでるはずです。


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導引術

碓井流活法では 「 導引術 」 と呼ばれる筋肉の調整術をよく用います。



これは目的の筋肉に力を入れさせ、瞬間脱力させるといった簡単にみえるものですが
実際にやってみると細かい注意点がたくさんあることに気付かされます。

 

まず目指す筋への 「 触診・圧痛の確認 」 が大事。これはあえて強めに行いますが
それは施術前と施術後の変化を患者さんに強く感じてもらうためです。

より大きな変化であればあるほど、患者さんはその効果が分かりやすくなります。
そして痛みがなくなり、動きやすくなれば、患者さんの動こうという意志・やる気も
導き引き出すことができるようになる。

 

次に、筋肉をただ動かすのではなく、可動域の限界まで患者さんに動いてもらうことが大事。
これは術者側でうまく誘導する必要があります。誘導をうまく行うには、まずどう動くのかの
言葉がけ、そして次にその動きを手でいざないます。

この時、決して無理に動かそうとしないで下さい。 あくまで患者さんに動いてもらうように!
それは反発を起こさないためです。

 

最後に、動いてもらった方向と逆に抵抗をかけるように力をいれ、患者さんに堪えてもらいます。抵抗の力は、患者さんがこらえられる程度。 すなわちお互いの力が拮抗する状態です。

そうすると押しも押されもせず、ピタッと止まる状態になるはずです。
その状態から3~5秒こらえてもらった後、合図とともに瞬間脱力してもらいます。

 

これ以外に、まだまだ注意点はいくつもありますが、注意点を一つ一つ着実にこなしていくと
技術の精度は上がり、その効果も高いものになります。
こつがわかってくると、目的とする筋以外にもその効果を波及させる事ができるようになります。


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始動支点の移動

身体を動かそうとする時、皆さんはどうしていますか?
といっても、何も考えずに自然と動きたいと思ったように動いているはずです。

普通に動ける場合にはそれで構わないのですが、調子が悪い・痛い時は当然動きが悪くなります。

その時、脳は 「 調子が悪い・痛いから動きたくない 」 と指示を出しています。
これは本来、身体を守り、治そうという働きのためですが、これが強かったり長引くと
身体はこれしか動かなくていいのだと勘違いしてしまいます。

この働きが曲者です。

そこで、碓井流活法では 「 脳の働きを逆転させる 」 ように認識を変えていきます。

始動支点の移動 という手法を用いますが、1度動ける範囲の認識を変えてあげると
動けるんだと勘違いさせることもできます。

今まで動けなかったものも、一旦動けてしまえば脳はその動きを指示し
筋肉もその通りに動いてくれるからです。

その方法は簡単!

一つ肩を例に考えてみます。 肩すなわち腕が挙がらない、五十肩の患者さんに
よくみられますがテストと称して立位で肩の動きをみると、痛いのでだいたい90°外転まで位しか
いかないくらいでしょうか ...

そこで、まず挙がるところまで腕を上げてもらいます。
術者はその位置で手首を持ち固定します。 そこから患者さんにしゃがんでみてもらって下さい。

すると・・どうでしょう?
自然に腕が挙がってしまった格好になっているはずです。

そうしたら、その姿勢からもう一度立位に戻ってもらいます。
 

ポイントは、一度変化が出たら必ず患者さんに目で見て確認してもらうことです。
確認したとき、脳の中では 「 ここまで動ける 」 と書き換えが起こり、動けたところまでは
必ず動けるようになっています。

このように患者さんの認識を変えていくと、今まで動かないとあきらめたり
痛くて目をそむけていたところが変わっていきます。

臨床では、施術のはじめ・終わりに用いることの多い手法です。


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形霊(かただま)

古来日本では、物事すべてに「 」が宿っており
その作用で世界が成り立っていると考えていました。

霊といってもお化けや妖怪といったイメージのものではありません。 むしろ山や森、河などと
いったものの神、自然霊ととらえた方が良いと思います。
この霊にも様々な考え方があり、かたちなら 形霊、ことばなら 言霊、おとなら 音霊 などと
いったものが有名です。
ここでいう形霊は広い意味ではなく、かたちにもそれぞれ意味があるという観点から
人の身体、特に関節の動きを形に当てはめて考えるという少し狭い範囲で用いるものになります。

関節の動きを形霊のかたち通りに動かしていく操法 」を用いると

楽に動けるようになったり、痛みが消えたりという結果が得られます。

実際に身体のどの関節が、どんな形であると考えるかと言えば、肩( 腕全体 )の動きは「
肘や手指は「 茶筒 」、手首や膝は「 」、頚椎や腰椎、股関節は「 8の字
背部は「 」、胸郭は「 鳥籠 」といった具合です。

この考え方は、碓井流活法の技法の中に多く取り入れられており、そこから一つ一つの技術が
作られています。


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